本願を信じ念仏もうさば仏になる
『他力真実のむねをあかせるもろもろの聖教(教)は、本願を信じ(信) 念仏もうさば(行) 仏になる(証)そのほか、なにの学問かは往生の要なるべきや』
このお言葉は、歎異抄
【たんにしょう✴︎1】の第十二章の中のものです。
「これが、真宗の教義であり、『教行信証
【きょうぎょうしんしょう✴︎2】』の説くところもこのほかにはない。」(金子大栄.前大谷大学名誉教授)といわれていますように真宗の教義を最も端的に表現されています。
「他力真実のむねをあかせるもろもろの聖教」 永遠に変わることのない(真実)阿弥陀如来のはたらき(他力)の内容(旨)をあきらかにするおおくの真宗のよりどころである仏の教典及び伝統の諸師の言教(聖教)は
「本願を信じ」 阿弥陀仏が仏となる前に、すべての人々の救済を誓って建立された四十八の願いで、仏・菩薩が使命とする根本の願い(本願)によって、人々に与えられた本願を信じ疑わないまことの心(信心)。
「念仏もうさば」
この本願の具体的なはたらきである念仏とは、直接的には口に仏名・南無阿弥陀仏を称える(申す)ことですが、念仏とは「今、私の心に阿弥陀仏とどく」阿弥陀仏のはたらきに報謝する念仏であります。
「仏になる」 私の根源に内在して私を支え、私を煩わし、私を悩ませた我(atman息をするもの)を離れ、無我なる清浄人となることを、仏
になる(成仏)と言います。死はその勝縁であります。
真宗では、「本願を信じ、念仏申す」信心によって現生(この世この身)で正しく浄土に仏と生まれることが定まる「即得往生【そくとくおうじょう】」を説いています。
*1、歎異抄…親鸞の直弟唯円の著。親鸞聖人から聞いた言葉を18章にまとめた書。
*2、教行信証…親鸞が記した『顕浄土真実教行信証文類【けんじょうどしんじつきょうぎょうし
んしょうもんるい】』の略称。浄土真宗の根幹をなす真実の行、真実の信、真実の証(さとり)のこと。